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  4. 高校生が「数学を研究する」― 全国数学生徒研究発表会「マスフェスタ」

8月22日(土)、大阪府立大手前高等学校で開催された全国数学生徒研究発表会「マスフェスタ」に、本校理数科3年生3名が参加しました。「数学の研究」と聞くと、皆さんはどのようなものを想像するでしょうか。数学の授業では、教科書に書かれた公式を学び、問題を解くことが多くあります。しかし、数学にも当然、まだ分かっていないことや、自分で新たに見つけられる規則性があります。今回のマスフェスタは、そんな「数学を研究する高校生」が全国かた集まり、自分たちの研究成果を発表し、交流する場です。そして今年はインドと韓国からも参加者がいました。

全国から「数学を研究する高校生」が集まる

マスフェスタは、全国の高校生が数学に関する研究成果を持ち寄る「全国数学生徒研究発表会」です。当日はポスターセッションを中心に、生徒同士が研究成果を発表したり、他校の研究について質問したりしながら交流しました。数学といっても、その研究分野はさまざまです。代数、幾何、解析、確率・統計、情報、さらには数学を活用した研究など、それぞれの生徒が自分の「なぜ?」を出発点として研究に取り組んでいます。「数学が好き」という高校生が集まるだけではありません。「自分たちで数学の問いを立て、自分たちで考え、その成果を人に伝える」。そんな高校生たちが集まる、数学に特化した研究発表会です。

岡山一宮高校は「数学の研究」を毎年続けています

実は、本校から毎年のように数学の研究グループが生まれていることは、決して当たり前ではありません。高校の課題研究というと、実験や観察を行いやすい物理・化学・生物などの研究を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。もちろん、数学をテーマに研究する高校生もいます。しかし、学校によっては数学分野の研究グループがない年度もあります。その中で、本校では毎年、数学を研究対象として選び、自分たちの問いを追究する生徒がいます。「数学は、すでに答えが決まっているもの」ではなく、「数学そのものを探究することができる」。その文化が先輩から後輩へとつながっていることは、本校の探究活動の一つの特色です。

今年のテーマは「タクシー数から見るレニーエントロピー」

今回、理数科3年生3名が発表した研究テーマは、「タクシー数から見るレニーエントロピー」です。

「タクシー数?」

初めて聞く方も多いと思います。有名なのが「1729」という整数です。1729は、2つの正の立方数の和として、異なる2通りの方法で表すことができる最小の整数として知られています。生徒たちは、このタクシー数から研究をスタートさせました。しかし、「1729って面白いね」で終わったわけではありません。「2通り以上の立方数の和で表される整数には、どのような規則性があるのだろう?」そこから問いを広げていきました。

高校数学で「証明」し、Pythonでも確かめる

今回の研究の面白いところは、数学的に考えるだけではなく、コンピュータも活用しているところです。生徒たちは、整数をある数で割った「余り」に着目して、その分布にどのような規則性があるのかを調べました。そして、ある関係式が成り立つことを、高校数学の範囲で証明しました。さらに、それで終わりではありません。Pythonを使って実際に大量の数値を計算し、12種類の場合について、数学的に導いた理論とコンピュータによる計算結果がどの程度一致するのかを検証しました。

「予想する」
「数学的に証明する」
「コンピュータで確かめる」
「うまく一致しない場合には、その理由をさらに考える」

こうして研究を一歩ずつ進めています。

「答えを解く数学」から「問いをつくる数学」へ

高校の数学では、多くの場合、最初から問題があります。

「この方程式を解きなさい」
「この値を求めなさい」
「これを証明しなさい」

そして、生徒はその答えを考えます。しかし、課題研究では違います。そもそも、「何を調べるのか」という問いから自分たちで考えなければなりません。そして、調べていく中で予想とは違う結果が出れば、「なぜだろう?」と、また新しい問いが生まれます。今回の研究でも、数値によって理論と実際の結果がよく一致する場合と、そうではない場合がありました。そこで終わるのではなく、「なぜ違いが生まれるのか」をさらに調べ、条件を考察しています。数学の問題を「解く側」から、数学の問いを「つくる側」へ。これも本校が大切にしている探究の姿です。

3人の研究を、次の数学研究へ

今回マスフェスタに参加したのは、理数科3年生3名です。全国の高校生の数学研究に触れ、自分たちの研究を説明し、質問を受け、また他校の研究について考える。自分たちだけで研究していると気づかなかった視点に出会えることも、全国規模の研究発表会に参加する大きな意味です。そして、本校にとってもう一つ大切なのは、この3人の研究が「今年だけのもの」ではないということです。これまでの先輩たちも数学を研究し、その姿を見た後輩たちがまた新しい問いに挑戦する。数学を「学ぶ」だけでなく、「研究する」。そんな生徒が毎年のように現れる環境を、これからも大切にしていきたいと思います。今年の3人の研究が、また次の世代の「自分も数学を研究してみたい」につながっていくことを期待しています。