■ 画家の体験から学ぶ「他者の視点」
6月2日(月)1年生の英語の授業で探究チャレンジを実施しました。今回の探究チャレンジでは、英語の授業に美術の要素を取り入れ、実在の画家のエピソードを通して「価値観の転換」について考えました。授業で扱ったのは、ある画家が自分の感性で描いたドラゴンの絵が、地域の人々に恐怖心を与えてしまったという出来事です。その後、地域の人々との対話の中で、「ライオン」や「バオバブの木」を描くと喜ばれたという体験から、画家は“自分の表現”ではなく、“誰かにとって良いもの”を描くことの大切さに気づきます。
このストーリーを英語で読み解きながら、生徒たちは「一方的に良いと思うこと」を表現するのではなく、「相手のニーズや価値観に寄り添う」ことの大切さを学びました。これは、今後始まる課題研究においても求められる視点であり、「探究」の根本にある考え方と深くつながっています。
■ 英語での思考と文法理解を両立
この授業では、内容理解に加え、不定詞と動名詞の使い分けや文法事項も丁寧に扱われました。例えば、”stop to smoke”(これから吸うために立ち止まる)と “stop smoking”(喫煙をやめる)のニュアンスの違いを実感を伴って理解できるようにするなど、生徒の「納得感」を重視した指導が展開されました。
また、文法理解は暗記ではなく、「意味と結びついた体験」によって強化されており、生徒たちは自然な文脈の中で英語表現を身につけていきました。
■ 小テストとルーティンで「集中して考える」姿勢を育成
授業では、しっかり考えるために時間を長くとるのではなく、小テストや口頭練習などの活動をルーティン化することで、生徒が「今、何をすべきか」「次に何をすべきか」を明確に把握できるように工夫されています。これにより、限られた時間内で高い集中力を発揮し、思考の質を高める練習ができる授業設計となっています。
このような授業の在り方は、他教科にも応用できるものであり、「効率的に、しかし深く考える力」を育む点で、教育的価値が非常に高い実践です。
■ 探究の入口としての英語授業
今回のような教科横断型の授業は、「探究とは何か」を体感的に理解する絶好の機会となりました。生徒たちは、自分の価値観を押しつけず、相手の期待や背景を理解しようとする姿勢の大切さを学びました。こうした経験は、今後の課題研究だけでなく、将来、他者と協働して何かを創り出すすべての場面において活きてくるはずです。
今後も岡山一宮高校では、日々の授業の中で探究的な視点を育む実践を続けていきます。






