1. ホーム
  2. ブログ
  3. SSH
  4. 第33回探究チャレンジ(数学B・2年理系)― データで「判断する」ことの難しさに向き合う ―

探究ウィーク期間中、本校では全教員が「探究チャレンジ」として、
新規性・提案性のある探究型授業を公開しています。

今回紹介するのは、2年生理系・数学Bの授業です。

「全国平均607円」は本当に正しいのか?

この授業で生徒たちが向き合った問いは、身近でありながら奥深いものでした。

「岡山県の醤油ラーメンの平均価格は、
全国平均607円と言ってよいのだろうか?」

生徒たちは、事前に集めた100件の価格データをもとに、
平均値・標準偏差を計算し、信頼区間や仮説検定を用いて判断することに挑みました。

計算が合わない? そこから探究が始まる

スプレッドシート上には、他と値が合わないセルがいくつも現れました。
色が付いたセルを前に、生徒たちは戸惑います。

  • 関数が間違っているのではないか
  • 元データの範囲がずれているのではないか
  • 貼り付けのミスではないか

教師がすぐに答えを示すことはありません。
「原因を特定し、修正すること」そのものが探究課題として提示されました。

生徒たちは計算式を見直し、データの取り扱いを確認しながら、
「なぜズレたのか」を一つひとつ検証していきました。

数学的に「判断する」ということ

データが整った後、生徒たちは95%信頼区間を求め、
全国平均607円がその範囲に含まれるかどうかを検討しました。

計算が進むにつれ、次のような声が上がります。

  • 「少数第何位まで使えばいいんだろう」
  • 「95%って、結局どういう意味?」
  • 「この幅、思ったより広いな…」

仮説検定では、
「全国平均は607円である」という仮説を立て、
その仮説を棄却できるかどうかを、有意水準5%で判断しました。

結果として、607円は信頼区間に含まれず、
「607円とは言えない」という結論に至ります。

結論で終わらせない探究

しかし、この授業の本質はここからでした。

最後に投げかけられたのは、次の問いです。

「そもそも、この調査や判断に問題はなかっただろうか?」

  • データの集め方は適切だったか
  • サンプルは偏っていないか
  • 全国平均と比較すること自体に無理はなかったか

生徒たちは、自分たちが出した結論をもう一度疑い、振り返ることになります。

「数字が出たから正しい」のではなく、
どこまで言えて、どこから言えないのかを考える
その姿勢こそが、この授業で最も大切にされた点でした。

探究チャレンジとしての価値

この授業では、数学の知識や計算技能を使いながら、
現実のデータをどう読み、どう判断するかに正面から向き合いました。

正解を早く出すことよりも、
迷い、つまずき、問い直すプロセスを大切にする。
それは、探究そのものの姿です。

探究ウィークでは、このような探究チャレンジが
全教員によって、教科の枠を越えて実施されています。

今後も本ブログでは、探究チャレンジの実践を紹介していく予定です。
生徒と教員がともに学び続ける「探究の一宮」の姿を、ぜひご覧ください。