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  4. 沖縄で気づいた「もっと研究したい」― 中四九理数科課題研究発表大会

8月20日(木)から21日(金)まで、理数科3年生5名が沖縄県を訪れ、「第28回 中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会(沖縄大会)」に参加しました。今回、本校を代表して参加したのは「クロロフィル班」の5名です。発表テーマは「銅クロロフィリンを用いた染色」。1年以上にわたって取り組んできた課題研究を携えて、岡山から沖縄へ。中国・四国・九州地区の理数科で学ぶ高校生たちと研究成果を発表し合いました。会場となったのは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)です。しかし、今回5名が沖縄から持ち帰ったものは、「発表してきた」という経験だけではありませんでした。他校の研究に触れ、自分たちの研究と比較し、研究者から質問を受ける中で、「研究するとは、どういうことなのか」を改めて考える3日間となりました。

1年以上かけて研究した「銅クロロフィリン」

5名が研究したのは、植物の緑色のもととなる「クロロフィル」です。クロロフィルは天然色素ですが、紫外線に弱く、退色しやすいという課題があります。そこで生徒たちは、クロロフィルの中心にあるマグネシウムを、より結合の強い銅に置き換えた「銅クロロフィリン」を自分たちで作製。それを使って綿ガーゼを染色し、紫外線に対する耐性を検証しました。実験の結果、クロロフィルを銅クロロフィリンに変えることで、退色の度合いを小さくすることに成功しました。一つの疑問から仮説を立て、実験し、結果を分析し、考察する。5名はこの研究に1年以上向き合ってきました。

いよいよOISTでポスター発表

大会初日には、自分たちの研究をポスターで発表しました。審査では、研究内容を説明した後、質疑応答が行われます。評価されるのは、ポスターの見やすさだけではありません。研究の独創性や新規性、仮説の妥当性、実験方法、分析・考察、そして自分の言葉で説明できるか、質問に対応できるかなど、さまざまな観点から研究そのものが見られます。生徒たちは事前に評価基準を確認し、何度も発表練習を重ねて本番に臨みました。ところが、実際に発表してみると、練習だけでは対応できない難しさがありました。生徒は振り返りの中で、こう話しています。

「一番発表者を苦しめるのは、教授たちからの質問です。教授によって目の付けどころや重視する視点が異なるため、その場で考えを論理的に伝えることは、いくら練習しても難しいことだと改めて感じました。」

用意した原稿を上手に読むことと、自分たちの研究を理解していることは違います。想定していなかった質問に対して、その場で考え、自分の言葉で答える。研究発表だからこそ経験できる学びです。

他校の研究を見て感じた「差」

そして、生徒たちにとって大きな刺激となったのが、中国・四国・九州地区から集まった他校の課題研究でした。自分たちも1年以上、多くの時間をかけて研究してきました。しかし、他校の発表を見た生徒は、自分たちとの違いをこう振り返りました。

「評価されている学校は、仮説を検証して結果を出すだけでは終わらず、そこから得られた別の問題、その次の問題へと貪欲に探究していました。」

一つの問いに答えが出たら、研究終了。そうではありません。

「では、なぜこうなったのだろう?」
「この条件を変えたらどうなる?」
「ここから新しく分かったことは何だろう?」

一つの答えから、次の問いをつくる。そして、その問いをまた追究する。自分たちと同じ高校生の研究だからこそ、その違いを強く感じたのだと思います。「もっと研究できたかもしれない」。その気づき自体が、今回の大会で得た大きな成果です。

「どの発表を見るか」も自分たちで決める

大会では、自分たちが発表するだけではありません。生徒たちは事前に配られた資料を読み、「どの研究を見たいのか」を自分たちで考えて行動しました。興味をもった研究を選び、発表を聞き、疑問に思ったことがあれば自分から質問する。生徒たちは振り返りの中で、この経験を本校が育成を目指している「iコンピテンシー」と結びつけて考えていました。必要な情報を読み取って自分の興味・関心に応じて選択する「情報分析活用力」。相手の質問の意図を考え、自分の知識や経験を組み合わせて答える「論理的思考力」。そして、疑問をそのままにせず、自分から話しかけ、質問する「決断実行力」。普段学校で意識している力を、学校の外で実際に使う機会にもなりました。

「考えるだけで終わらせず、行動する」

大会を終えた生徒が後輩たちに伝えたいと話したことがあります。それは、「自ら積極的に行動し、人との対話を大切にしてほしい」ということです。

知らない人にも自分から話しかける。

分からないことをそのままにせず質問する。

すると、人とのつながりが生まれるだけでなく、自分だけでは気づかなかった考え方や新しい情報に出会うことができます。生徒はこう振り返っています。

「考えを巡らせることももちろん大切ですが、考えるだけで終わらせず、実際に行動に移すことが大切だと、今回の研修を通して学びました。」

「考える」と「行動する」。

その両方があって初めて、探究は前へ進んでいきます。

後輩へ――「もっと貪欲に」

もう一つ、3年生から後輩たちへ伝えたいことがありました。それは、「いろいろなところへ行って発表し、いろいろな発表を聞いて、もっと貪欲になってほしい」ということです。発表すれば、質問や意見をもらえます。時には、自分たちの研究の弱いところを指摘されるかもしれません。思うように研究が進まないこともあります。それでも、生徒は後輩たちにこう語りました。

「発表したら質問や意見をもらえます。それは自分たちの課題研究も、自分自身も絶対に成長させてくれます。」

そして最後に、

「研究を続けていると追い風の時もあれば、向かい風の時もあります。どんな時でも自分たちのやってきたことを信じ、どんな逆風にも立ち向かっていってください。」

と後輩たちにエールを送りました。

5人の探究から、次の探究へ

沖縄まで研究を持って行ったからこそ、見えたものがあります。

自分たちの研究のよさ。

まだ足りなかったところ。

他校の高校生の研究のすごさ。

研究者から質問される難しさ。

そして、人と対話することで研究が深まっていく面白さ。

今回の大会で5名が得たものは、賞や順位だけでは測れないものだったと思います。そして、3年生の探究は3年生だけのものでもありません。自分たちが研究して得た経験を、今度は後輩へ渡していく。先輩の研究を見た後輩が、

「自分たちは、もう一歩先まで研究してみよう」

と思う。そんな探究のバトンがつながっていけば、本校の課題研究はさらに深まっていくはずです。最後に、生徒たちが振り返りで語った言葉を紹介します。

「一宮の課題研究の頑張りが、たくさん評価されることを願っています。」

沖縄で感じた悔しさも、驚きも、新しい発見も、すべて次の探究へ。5名が持ち帰った経験が、これからの岡山一宮高校の探究につながっていくことを期待しています。