3日間の蒜山研修も、いよいよ最終日を迎えました。この日は、生徒たちがフィールドワークで得た学びを整理し、ポスターにまとめ、班ごとに発表を行いました。
「分かった」ではなく、「伝わった」を目指す
理数科では、「分かる」だけでは探究は終わりません。自分が得た学びを整理し、相手に分かりやすく伝えることまでが探究です。
ポスター発表では、
「なぜそのテーマにしたのか。」
「どんな仮説を立てたのか。」
「これからどのように研究を進めるのか。」
聞く側からも多くの質問が飛び交い、発表する側も質問に答えながら、自分たちの考えをさらに深めていました。私が講評でも伝えたのは、
「問いを立て始めたこと」
「班員が役割分担をしながら協力できていたこと」
「質問が多く、聞く側もしっかり評価していたこと」
の3点です。
これは、探究活動において非常に大切な姿勢です。
研修は「知識」ではなく「探究する力」を育てる
今回の蒜山研修では、
・地学実習
・神庭の滝でのニホンザル行動観察
・サイエンスラリー
・水質調査
・岩石調査
・一宮チャレンジ
・ポスター発表
と、多くの活動を行いました。
しかし、これらはそれぞれ独立した活動ではありません。
「気づく」「計画する」「実行する」「整理する」「考察する」「発表する」
という、理数科が大切にしている「探究6段階岡山一宮MODEL」を3日間で体験する研修だったのです。
アンケートが教えてくれたこと
研修終了後に実施したアンケートでは、私自身もうれしい結果が出ました。77名の回答のうち、55名(約71%)の生徒が、「ニホンザルの行動観察」が最も印象に残った活動として挙げていました。理由として最も多かったのは、
「講義を聞いてから観察したことで、猿の見え方が変わった。」
という内容です。
私は、この一文に今回の研修の価値が詰まっていると感じました。知識を身に付けることで、見える景色が変わる。そして、「なぜだろう」と考え始める。これこそが探究の第一歩です。
また、サイエンスラリーや地学実習、水質調査・岩石調査についても、「教室で学んだことを実際の自然の中で確かめることができた」という感想が多く寄せられました。
さらに、「情報分析活用力」「論理的思考力」「決断実行力」の自己評価はいずれも4.6を超える高い結果となり、生徒自身も成長を実感していることが分かりました。
今日で終わりではありません
表彰式で私は、生徒たちにこんな話をしました。
「蒜山研修はゴールではありません。今日考えたテーマを、この1年間かけて自分たちの研究へ育ててください。」
これは、理数科長が蒜山研修の最後に毎年伝えているメッセージです。蒜山研修の目的は、知識を増やすことではありません。探究のスタートラインに立つことです。
理数科長として、忘れられない出来事
研修が終わった後のことです。私はポスター作成に使用した本を図書館へ返しに向かいました。すると、理数科の生徒5人が私のところへ歩いてきました。そして、
「理数科長、蒜山研修を実施してくださり、ありがとうございました。」
そう言って、5人そろって深々と頭を下げてくれたのです。正直、驚きました。この3日間、多くの先生方や大学・施設の皆様のご協力をいただきながら、「どうすれば生徒にとってより良い研修になるか」を考え続けてきました。その思いが、生徒たちに少しでも伝わっていたのなら、理数科長としてこれ以上うれしいことはありません。
また来年へ
蒜山研修は終わりました。しかし、生徒たちの探究はここから始まります。1年後、この蒜山で見つけた「気づき」が、どのような研究へと成長しているのか。今からとても楽しみにしています。








