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  4. 令和8年度蒜山研修1日目ー教室を飛び出し、「本物」に出会う一日

「先生、この石って本当に湖の底だったんですか?」

蒜山研修1日目。生徒から飛び出したこの一言が、とても印象に残っています。理数科では毎年、1年生を対象に蒜山研修を実施しています。今年も7組・8組の生徒たちが学校を飛び出し、自然の中で探究活動に取り組みました。学校で学ぶ知識はもちろん大切です。しかし、本当に学びが深まるのは、「本物」に触れた瞬間だと私は思っています。今年の研修も、まさにその連続でした。

「知っている」と「見える」は違う

午前中は、大阪大学の山田先生による「ニホンザルから考える寛容性と協力社会」の講義です。「猿」と聞くと、かわいい動物を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、講義では、群れの中での役割や協力、子育て、社会性など、人間社会にも通じる興味深い内容を学びました。生徒たちは熱心にメモを取りながら、「明日の観察ではどんなことが分かるだろう」と期待を膨らませていました。知識を得ることで、翌日の「見る目」が変わる。この講義は、その第一歩になりました。

教科書では味わえない地学実習

午後は、岡山理科大学の能美先生、加藤先生のご指導のもと、昭和化学工業の旧採土場・新採土場で地学実習を行いました。普段は教科書や写真でしか見ることができない地層や珪藻土を、自分の目で見て、自分の手で触れる。

「こんな場所に昔の環境が残っているんだ。」
「地層を読むって、こういうことなんだ。」

そんな驚きの声があちらこちらから聞こえてきました。

その後は岡山理科大学蒜山学舎へ移動し、自分たちで採取した試料を顕微鏡で観察しました。肉眼ではただの土にしか見えなかった試料の中に、美しい珪藻の殻が次々と現れます。

「本当に珪藻がいた!」

生徒たちの表情が一気に変わった瞬間でした。知識として学ぶだけでなく、自分の目で確かめる。理数科が大切にしている探究の原点を、生徒たちは体感していたように思います。

「答えのない問い」に挑戦する

夜は、「一宮チャレンジ」を行いました。昼間の地学実習で学んだ「珪藻土」について、班ごとに「理数探究ではどのような研究テーマが考えられるか」を話し合いました。ここで大切なのは、正解を見つけることではありません。制限時間の中で意見を出し合い、仲間と議論を重ねながら、班としての納得解を導き出していきます。

そして、この活動には答え合わせがありません。

本当に良い研究テーマだったのかは、これから何か月もかけて研究を進めてみなければ分からないのです。

正解のある問題を解く経験は、生徒たちはこれまで数多く積んできました。しかし、「答えのない問い」と向き合い、最適解を考える経験はほとんどありません。探究とは、まさにこのような学びです。私は、この時間こそが蒜山研修の大きな価値の一つだったと感じています。

明日は、いよいよフィールドワーク

こうして1日目は終了しました。翌日は、神庭の滝でニホンザルの行動観察と、津黒いきものふれあいの里でのサイエンスラリーです。今日学んだ知識は、生徒たちの「見る目」をどのように変えるのでしょうか。理数科長として、私自身もとても楽しみな一日となりました。

(つづく)