6月5日(木)2年生を対象に、数学Ⅱの「微分法」単元で探究チャレンジが実施されました。
テーマは「接線の方程式をどう導くか」。この授業では、導関数を使う通常の方法に加え、「微分を使わない別解」を探究するという新たな視点に挑戦しました。
■ 微分と接線──“当たり前”を問い直す
生徒たちが最初に取り組んだのは、放物線上にある点 における接線の方程式を導関数を使って求める標準的な問題。
この導入を経て、いよいよ本時の探究課題へ。
「微分を使わずに、接線を求める方法ってある?」
教師のこの問いかけから、生徒たちの思考が一気に広がります。
「直線と放物線が接するってどういうこと?」「共有点が重解になるのでは?」
そんなやり取りをグループ内で重ねながら、放物線と直線の方程式を連立し、2次方程式が重解を持つ条件に落とし込むという別解を導いた生徒が現れました。
その生徒は、全体の前で自らの解法と考え方を発表し、数学的思考の広がりを仲間と共有しました。
■ Canvaホワイトボードで“思考を可視化”する
この授業で特に効果的だったのが、Canvaのホワイトボード機能の活用です。
各自が自分のスペースに、手書きで考えた式や図、メモなどを自由に書き込みました。
- 定義に従って微分係数を求め、接線を求める解法
- 判別式による別解
- 点と直線の距離に着目した直感的アプローチ
正答に至っていないものも含め多様な思考が並ぶCanvaボードには、生徒たちの思考の軌跡が可視化されていました。
そして活動の終盤には、他の生徒のスペースを見て「一番いいな」と思ったものにスタンプ(星)を貼るという“評価の可視化”活動を実施。
最も多くのスタンプを集めた生徒が、全体に対して自分の考えを発表しました。
このような「仲間から選ばれる」「認められる」経験は、生徒の自信や表現意欲にもつながっています。
■ 探究6段階 × iコンピテンシー
今回の学びは、探究6段階の【04 整理】に位置づけられます。
また、育成を目指したiコンピテンシーは 「Ⅱ 論理的思考力(根拠提示力)」。
“なぜこの方法で求められるのか?”を言語や図、式を使って説明する活動を通じて、数学的根拠に基づいた論理的な説明力が育まれました。
■ 生徒の声(一部抜粋)
微分以外でも接線が出せることに驚いた。
判別式を使う方法は初めて知ったが、意味がわかると納得できた。
他の人の考えを星で評価するのが楽しかったし、刺激になった。
■ 最後に
数学における「別解」は、単なるテクニックではなく、「考え方の多様性」を学ぶ機会でもあります。
Canvaのホワイトボードによって思考が可視化され、生徒同士が認め合い、共有し合う学びの場が生まれました。
探究チャレンジを通して、一つの問いに複数の答えがある世界への扉が、確かに開かれていました。



















