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  4. 教職大学院生が進化の魅力を再発見させる特別授業

進化概念の再構築と科学的思考力の育成を目指して

6月5日(木)2年生の生物の授業において、岡山大学教職大学院の大学院生による特別授業が行われました。今回の授業は研究活動の実際に触れながら、生徒の探究的思考を深めることを目的としたものです。

■ 高校生の「進化」に関する誤解に挑む

授業のテーマは「高校生における進化概念の誤解とその概念変容を促す指導のあり方」です。
多くの高校生が抱えがちな「進化」についての誤解に注目し、それをどのように科学的に捉え直せるか、という教育研究に基づいた内容でした。

この授業では、まず生徒の「進化」に対するイメージや認識をアンケートを通じて把握し、今後9月に予定されている教材実践とその効果検証に向けた計画が紹介されました。
本授業は、科学的思考力・情報リテラシー・概念的理解の深化を狙いとし、研究の一端を身近に体験できる貴重な機会となりました。

■ 探究活動へのヒントも満載

授業後半では、生徒たち自身が取り組む探究活動に役立つアドバイスもいただきました。

  • 先行研究を読み込むことの重要性
    「自分が不思議に思ったことは、たいてい誰かが研究している」との言葉通り、まずは多くの先行研究に触れることの大切さが強調されました。
  • 研究方法は真似てよし
    実際の研究でも、先行研究の手法を参考にして進めることが多く、実験の設計や記録の取り方も含め、精密に再現・記録する力が求められることが説明されました。
  • 目的意識を持った仮説設定
    「○○の性質を調べる」だけで終わらず、その性質が社会的・生物学的にどのような課題と関わるのかという“目的”を持つことが、研究の価値を高めるコツとして語られました。

■ 実際の卒業研究の紹介も!

授業の終盤では、先生ご自身が大学時代に取り組んだ卒業研究も紹介されました。
テーマは「デルフィニウムの白斑発生の要因解明」。
市場価値の高い青系の切り花に白いシミ(白斑)が現れる問題を解決するために、温度や遮光、肥料条件を変えた実験を繰り返し、白斑発生の要因を科学的に検証した過程が紹介されました。

  • 低温が白斑発生の要因であること
  • 遮光や肥料の影響
  • 品種間の違いによる発生傾向

などが示され、研究における仮説設定・データ収集・分析・考察のプロセスを実感する内容となりました。

■ 生徒たちの探究にも“刺激”を

今回の授業は、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)として探究活動に日々取り組む本校の生徒たちにとって、研究活動への具体的なイメージを持つための貴重な学びの場となりました。

授業後には「自分のテーマをどう発展させようか」「先行研究、もっと読んでみようと思った」といった声も多く聞かれました。今後の探究活動にも大きな影響を与えることが期待されます。

最後に

先生からは「興味があれば、研究や大学生活のことなど何でも気軽に声をかけてください」との温かい言葉もあり、生徒との距離を縮める場面も見られました。
このような出会いと学びが、次代の探究者を育てていきます。