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  4. 令和8年度 第3回サイエンスレクチャーを実施ました (動画公開)

本校では、校外での研修や研究発表会などに参加した生徒が、そこで得た学びや気付きを全校生徒へ伝える「サイエンスレクチャー」を行っています。発表する生徒にとっては、自らの経験を振り返り、言葉にして整理する機会に。そして、発表を聞く生徒にとっては、自分がまだ経験していない世界や新しい学びに出会う機会になります。令和8年度第3回となる今回は、3つの活動について生徒から報告がありました。

一つの「なぜ」から全国の舞台へ ― SSH生徒研究発表会

最初の報告は、全国のSSH指定校の高校生が集まる「SSH生徒研究発表会」に参加した生徒たちです。生徒たちが研究しているのは「食変光星」。2つの星が互いに隠し合うことで、地球から見た明るさが周期的に変化する天体です。家庭用のデジタル一眼レフカメラを使って観測を続け、一度の観測で500枚を超える画像を扱うこともあります。当初は膨大な画像を一枚ずつ処理していましたが、「もっと効率よくできないか」と考え、マクロを活用して画像処理を効率化。研究対象だけでなく、研究の「方法」そのものも改善してきました。さらに、観測を続ける中で、予想されている時刻と実際の観測時刻との「ずれ」に気付きます。「なぜ、ずれているのだろう。」その小さな疑問からデータを分析し、原因を考察し、新たな提案へと研究を発展させました。

全国大会では、他校の生徒や先生方からの質問を受け、自分たちだけでは気付かなかった課題や新しい視点にも出会いました。また、全国の高校生の研究から、研究方法やデータの扱い方、研究の伝え方についても多くの刺激を受けました。

生徒は最後に、自分たちの研究を本校が育成を目指す3つの「iコンピテンシー」と重ねて振り返りました。膨大な観測データを整理・分析し、「ずれ」を発見する「情報分析活用力」。結果から「なぜだろう」と原因を考え、新たな予報式へつなげる「論理的思考力」。雲や結露、膨大な画像処理など、思い通りにならないことがあっても方法を改善し、研究を続ける「決断実行力」。

そして、全校生徒にこんなメッセージを送りました。

「私たちの研究も、最初から全国大会を目指して始まったわけではありません。一つの『なぜ』から始まり、観測して、失敗して、工夫して、また考える。その繰り返しが全国の舞台につながりました。」

普段の生活や授業の中にある小さな「なぜ」が、大きな探究の入口になることを伝えてくれました。

「もっと先へ」を求める探究 ― 理数科課題研究発表会・沖縄大会

続いて、「第28回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表会沖縄大会」に参加した生徒からの報告です。自分たちのポスター発表だけでなく、他校のポスター発表やステージ発表を聞き、研究について質問し合う2日間。その中で、生徒が強く感じたことの一つが、他校の「探究力」でした。自分たちも1年以上かけ、仮説を立て、検証し、結果を出すことを目指して研究してきました。しかし、高く評価される研究は、そこで終わっていなかったといいます。一つの結果から新たな問題を見つけ、その次へ、さらにその次へと、貪欲に探究を続けていました。

もう一つ感じたのが、「評価されることの難しさ」です。

発表には評価基準があり、それを意識して何度も練習できます。しかし、大学の先生方から投げかけられる質問は事前には分かりません。質問者によって着目する点も異なります。その場で質問の意図を捉え、自分たちの考えを整理し、論理的に説明しなければなりません。

ここでも生徒たちは、iコンピテンシーとのつながりを見いだしていました。事前資料から自分が聞きたい発表を選ぶ。質問の意図を分析して答える。疑問に思ったことをそのままにせず、他校の生徒に自分から質問する。情報を集めて考えるだけではありません。最後には「自分から動く」ことが必要になります。

発表の最後に、生徒から後輩たちへ力強いメッセージが送られました。

「考えを巡らせることももちろん大切ですが、考えるだけで終わらせず、実際に行動に移すことが大切です。」

そして、

「いろいろなところに行って発表したり、いろいろな発表を聞いたり、貪欲になってほしい。発表すれば質問や意見をもらえます。それは自分たちの課題研究も、自分自身も絶対に成長させてくれます。」

研究には、うまくいくときも、思うように進まないときもあります。それでも、自分たちが積み重ねてきたものを信じ、外へ出て、人と対話し、次の問いへ進んでいく。その経験そのものが探究なのだと感じさせる報告でした。

国境を越えて人とつながる ― 韓国青少年交流事業

最後は、7月23日から27日にかけて韓国で行われた「韓国青少年交流事業」に参加した生徒からの報告です。韓国の伝統文化体験、市内観光、韓国の高校生とのスポーツ交流、レクリエーション、施設見学、そしてホームステイ。さまざまな活動の中でも、特に印象に残ったのが、韓国のバディとその家族との交流でした。言葉が十分に通じない中でのホームステイ。参加する前には大きな不安もあったそうです。それでも、翻訳アプリを使いながら一生懸命に会話をし、一緒に食事をし、時間を過ごすことで、少しずつ距離が縮まっていきました。言葉が完璧に通じなくても、「伝えたい」「分かりたい」と互いに働きかけることで、人はつながることができます。生徒たちは今回の訪問について、

「今回の韓国訪問での出会いと別れが終わりではなく、私たち一人一人にとって、国境を越えた国際交流を切り開く始まりだと思っています。」

と語りました。研修に参加して終わりではありません。そこで生まれたつながりを、これから自分たちがどう育てていくのか。生徒たちにとって、新たなスタートとなる5日間になりました。

学びを自分たちだけのものにしない

今回の3つの報告は、扱っているテーマも活動した場所も大きく異なります。しかし、そこには共通する姿がありました。「なぜ」と思ったことをそのままにしない。分からないことがあれば、自分から尋ねる。思い通りにならなければ、方法を変えてもう一度やってみる。そして、自分たちの学校の中だけにとどまらず、全国へ、そして海外へと飛び出し、多様な人と出会い、自分の考えを更新していく。それらはまさに、「情報分析活用力」「論理的思考力」「決断実行力」という本校のiコンピテンシーが、実際の経験の中で働いている姿でもあります。

そしてサイエンスレクチャーには、もう一つ大切にしていることがあります。それは、校外で得た学びを参加した数人だけのものにせず、学校全体へ還元することです。誰かの経験を聞いた生徒が、「自分もやってみたい」と思う。その生徒が次は校外へ飛び出し、そこで得たものをまた学校へ持ち帰る。こうした「学びを共有する文化」を、これからも岡山一宮高校では大切にしていきます。