8月5日(水)から6日(木)までの2日間、神戸で開催された「SSH生徒研究発表会」に、本校の生徒5名が参加しました。
この発表会には、全国のSSH指定校から、日頃の探究活動に取り組んできた高校生が集まります。本校の生徒たちも、授業の中だけでは収まらないほど熱心に続けてきた研究の成果を携え、全国の舞台で発表しました。
家庭用カメラで食変光星の観測に挑戦
本校が発表した研究題目は、
「食変光星の光度解析とその手順の確立―家庭用デジタル一眼レフカメラを使用して―」
です。
食変光星とは、二つの恒星が互いの周りを回り、一方がもう一方の手前を通過することで、地球から見た明るさが周期的に変化する天体です。
食変光星の精密な観測には、一般的に高価な望遠鏡や赤道儀などの専門的な機器が必要です。そこで生徒たちは、家庭用のデジタル一眼レフカメラとフリーソフトを使い、天体観測の初心者でも取り組める観測・解析方法を確立することを目指しました。
授業時間を越えて続けた研究
この研究に取り組んだ生徒たちは、3年生になってからも探究を終わらせることなく、観測と分析を続けてきました。
観測場所には、岡山市街地よりも光害の少ない建部町親水公園を選びました。食変光星の明るさの変化を捉えるためには、夜間に長時間観測し、数多くの写真を撮影する必要があります。生徒たちは夜に集まって星空にカメラを向け、条件が整わないときには、それぞれの自宅からも観測を行いました。
発表会直前の2026年7月にも観測を実施し、午前2時を過ぎる時間帯まで、食変光星の明るさの変化を追い続けました。
授業で与えられた課題をこなすのではなく、自分たちが見いだした問いに対して必要な活動を考え、授業時間外にも粘り強く取り組んできたグループです。
失敗を研究の前進につなげる
天体観測は、思いどおりには進みません。観測日を決めても雲に阻まれ、撮影を中止しなければならないことがありました。夜間にはカメラのレンズに結露が発生したため、カイロとマスクを利用して対策しました。
また、1回の観測で撮影する写真は500枚以上になります。すべての画像を一枚ずつ処理すると、解析に膨大な時間がかかります。
そこで生徒たちは、自動操作のためのマクロを作成して、測光に必要な設定時間を短縮しました。さらに、撮影した画像を一定の間隔で仕分けることで、すべての画像を解析する前に光度曲線の概形を捉えられるよう工夫しました。
観測や分析の途中で生じた問題をそのままにせず、「どうすれば解決できるか」を考え、研究方法そのものを改善していきました。この試行錯誤の過程に、生徒たちの探究の深まりが表れています。
観測から新たな予測式の提案へ
生徒たちは観測と解析を重ね、とかげ座SW星の連続的な光度曲線を得ることに成功しました。そして、星が最も暗くなる「極小時刻」を特定し、海外の天文台が示した予報と比較しました。
その結果、予報時刻と実際の観測時刻との間にずれがあることを発見しました。そこで、食変光星の周期が変化している可能性を考え、新たな極小時刻の予測式を提案しました。
さらに、異なるカメラでも同様の結果が得られるかを検証するなど、自分たちの観測結果の信頼性についても確かめています。
身近な家庭用カメラから始まった研究が、繰り返しの観測と分析を経て、新たな提案へと発展しました。
何度も練習して臨んだ全国発表
発表会が近づくと、生徒たちはポスターの内容を見直すとともに、発表練習を何度も重ねました。
研究に長く取り組んできたからこそ、伝えたいことはたくさんあります。しかし、初めて研究を知る相手に、限られた時間で目的や方法、研究の価値を伝えることは簡単ではありません。
生徒たちは、説明の順序や言葉の選び方を検討し、互いに改善点を伝え合いながら発表を磨きました。自分たちの研究をもう一度整理し、「この研究で何を明らかにしたかったのか」「どこに工夫や新しさがあるのか」を見つめ直す時間にもなりました。
全国の高校生との交流から得た学び
ポスター発表では、全国から集まった高校生や先生方に向けて、研究の目的、観測方法、分析結果を説明しました。
発表を聞いた方からの質問に答えることは、自分たちの考えを言葉にする力を試す機会です。また、自分たちとは異なる視点からの質問を受けることで、研究の成果と今後の課題を捉え直すことができます。
会場には、物理、化学、生物、地学、数学・情報など、さまざまな分野の研究が並びました。全国の高校生による研究や代表校の口頭発表に触れ、研究方法やデータの示し方、伝え方について多くの刺激を受けました。
熱中できる学びが、生徒を成長させる
今回の発表は、3年間にわたる研究の一つの大きな節目です。
夜間の観測、500枚を超える画像の処理、天候や機材のトラブル、予測と観測結果のずれなど、生徒たちは何度も困難に直面しました。それでも研究を止めず、自分たちで解決方法を考え、3年生になっても探究を続けてきました。
全国の舞台で発表できたことだけでなく、そこに至るまで粘り強く研究に向き合った過程そのものが、生徒たちの大きな成長です。
岡山一宮高校理数科には、自分の問いに熱中し、授業の枠を越えて探究を続けられる環境があります。今回の経験を自信に変え、生徒たちがこれからも夜空への問いをさらに深めていくことを期待しています。





