探究ウィーク期間中、本校では全教員が「探究チャレンジ」として、
新規性・提案性のある探究型授業を公開しています。
今回紹介するのは、2年生理系・数学Bの授業です。
「全国平均607円」は本当に正しいのか?
この授業で生徒たちが向き合った問いは、身近でありながら奥深いものでした。
「岡山県の醤油ラーメンの平均価格は、
全国平均607円と言ってよいのだろうか?」
生徒たちは、事前に集めた100件の価格データをもとに、
平均値・標準偏差を計算し、信頼区間や仮説検定を用いて判断することに挑みました。
計算が合わない? そこから探究が始まる
スプレッドシート上には、他と値が合わないセルがいくつも現れました。
色が付いたセルを前に、生徒たちは戸惑います。
- 関数が間違っているのではないか
- 元データの範囲がずれているのではないか
- 貼り付けのミスではないか
教師がすぐに答えを示すことはありません。
「原因を特定し、修正すること」そのものが探究課題として提示されました。
生徒たちは計算式を見直し、データの取り扱いを確認しながら、
「なぜズレたのか」を一つひとつ検証していきました。
数学的に「判断する」ということ
データが整った後、生徒たちは95%信頼区間を求め、
全国平均607円がその範囲に含まれるかどうかを検討しました。
計算が進むにつれ、次のような声が上がります。
- 「少数第何位まで使えばいいんだろう」
- 「95%って、結局どういう意味?」
- 「この幅、思ったより広いな…」
仮説検定では、
「全国平均は607円である」という仮説を立て、
その仮説を棄却できるかどうかを、有意水準5%で判断しました。
結果として、607円は信頼区間に含まれず、
「607円とは言えない」という結論に至ります。
結論で終わらせない探究
しかし、この授業の本質はここからでした。
最後に投げかけられたのは、次の問いです。
「そもそも、この調査や判断に問題はなかっただろうか?」
- データの集め方は適切だったか
- サンプルは偏っていないか
- 全国平均と比較すること自体に無理はなかったか
生徒たちは、自分たちが出した結論をもう一度疑い、振り返ることになります。
「数字が出たから正しい」のではなく、
どこまで言えて、どこから言えないのかを考える。
その姿勢こそが、この授業で最も大切にされた点でした。
探究チャレンジとしての価値
この授業では、数学の知識や計算技能を使いながら、
現実のデータをどう読み、どう判断するかに正面から向き合いました。
正解を早く出すことよりも、
迷い、つまずき、問い直すプロセスを大切にする。
それは、探究そのものの姿です。
探究ウィークでは、このような探究チャレンジが
全教員によって、教科の枠を越えて実施されています。
今後も本ブログでは、探究チャレンジの実践を紹介していく予定です。
生徒と教員がともに学び続ける「探究の一宮」の姿を、ぜひご覧ください。



