11月6日(木)、2年8組では、音楽Ⅰの授業で「西洋音楽史と創作」をテーマにした探究チャレンジが行われました。音楽の歴史をただ学ぶのではなく、その時代の響きを“再現しながら創る”という挑戦的な授業でした。
音楽史から「時代の音」を見つける
授業の導入では、「バロック」「古典派」「ロマン派」「現代」など、西洋音楽の主要な時代を軸に、各グループが年表を作成。
教科書やワークシートをもとに、作曲家や代表曲、演奏様式を整理しながら、時代の流れを可視化しました。
生徒たちは、BGMとして流れるバッハやモーツァルトの作品を聴き比べながら、
「旋律の動きが違う」「テンポの印象が変わる」など、聴覚的な特徴を言語化していました。
音楽史が“耳で感じる探究”として立ち上がる瞬間でした。
時代の特徴を読み取り、創作へとつなげる
中盤では、各グループが選んだ時代(バロック、古典派など)の音楽的特徴を踏まえて、
自分たちのオリジナル作品を創作する活動に取り組みました。
「和音の進行」「旋律の跳躍」「重なり」など、理論と実践を往復しながら“当時らしい響き”を目指します。
授業者は、生徒の演奏を一つひとつ聴きながら、
「音の形だけでなく、背景の思想を感じながら作ってみよう」
と声をかけ、音楽を“文化の言語”として捉えるよう導いていました。
参観した先生からも、
「理論を生かして創造に挑む姿が印象的だった」
「音楽史を“再現”ではなく“再創造”として学んでいる」
といった声が寄せられています。
発表と共有:音で語る「探究の成果」
授業の後半では、完成した楽曲をグループごとに発表。
バッハ風の厳かな合奏、モーツァルト風の軽快な旋律、ショパン風の自由な即興――
それぞれのグループが工夫を凝らし、まるで“音で語るプレゼンテーション”のように教室に響き渡りました。
生徒たちは作品を聴き合いながら、
「当時の音の特徴をどう取り入れたか」
「自分たちの創作にどんな工夫をしたか」
を互いに解説。音楽的思考と表現力が融合した探究の時間となりました。
音楽の学びを超えて
この授業は、「探究6段階 岡山一宮MODEL」のうち【整理→考察→発表】に焦点を当てた実践。
過去の音楽を単に“知る”だけでなく、“創る”ことを通じて理解を深める構成になっています。
つまり、音楽史を「過去の知識」ではなく、「創造の資源」として再解釈する探究です。
馬場教諭は授業後、次のように語りました。
「歴史をなぞるだけではなく、“その時代の人の感性”を想像することが音楽の本質。
生徒たちが自分の表現を通して時代を感じ取ってくれたのが嬉しかった。」
探究が生み出す「音の対話」
この日の教室は、まるで時代を越えたコンサートホール。
バッハ、モーツァルト、ショパン、そして現代の高校生——
異なる時代の感性が音を通して交差し、新しい創造が生まれました。
生徒たちは最後にこう記しました。
「歴史を知ることで、音の作り方が変わった」
「昔の音楽が“生きている”と感じた」
音楽を通じて、時代を理解し、創造でつなぐ。
これもまた、一宮高校の「探究チャレンジ」が目指す“学びのかたち”です。