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  4. 第26回探究チャレンジー地震・津波から学ぶ「命を守る探究」

11月6日(木)、1年7組では「地震・津波による災害とその対策」をテーマにした探究チャレンジ授業が行われました。
地理総合の学びを通して、データを読み解く力と防災意識を結びつけることを目的に、生徒たちは実際の被害状況やハザードマップをもとに“地域を守るための知”を探りました。

「なぜ、ここで災害が起こるのか」から始まる気づき

授業の導入では、過去の地震や津波の被害を資料から読み取り、「どのような地域で被害が大きかったのか?」を考えました。
生徒たちは「地形」や「プレートの位置」といった地理的要因に注目しながら、被害の分布を論理的に説明しようと試みました。
ある生徒は「岡山県では地震が少ないが、津波の可能性はどうだろう」とつぶやき、身近な地域にも目を向ける姿が見られました。

データを読み解く「分析と考察」

次に、生徒たちは東日本大震災の被害データをGISサイトで閲覧し、
「どこで」「なぜ」「どのように」被害が発生したのかを探究的に読み取りました。
数値や地図をもとに、被害の分布や要因を比較し、仮説を立てながら考えを深めていきます。

さらに、岡山県沿岸部の津波被害予測マップを用いて、
「どの地域で津波被害が発生しやすいか」という仮説を自ら立て、根拠をもって説明する活動も行いました。

授業の中心となったのは、「知識を使って考える」こと。
参観した教員からも、

「地図や数値をもとに、自ら根拠を導き出そうとする生徒の姿勢が印象的だった」
という声が寄せられました。

ハザードマップで“自分の問題”として考える

後半では、ハザードマップをもとに自宅周辺の地形と災害リスクを照らし合わせ、
「自分や家族が住む地域ではどんな備えが必要か」を考える活動を行いました。
「海からの距離」「標高」「避難経路」など、地形的条件を読み解きながら、
“自分の命を守るための判断”を地理的思考で導き出します。

生徒たちの振り返りには、
「災害は遠い話ではなく、自分の町でも起こりうることだと実感した」
「地図を読む力があれば、命を守る行動につながると思った」
といった気づきが記されていました。

地理が“防災の科学”に変わる瞬間

この授業では、地理の知識を暗記するのではなく、**データを活用して考察する「地理的探究」**が展開されていました。
生徒たちは、「知識→分析→仮説→検証→対策」というサイクルの中で、
科学的な根拠に基づいた判断力を育てています。

授業者はこう語ります。

「防災は、知って終わりではなく“自分の行動”として考えられることが大切。
地理はその力を育てる教科なんです。」

一宮高校の探究チャレンジ:教科を越えて“考える力”を育む

この授業は、「探究6段階 岡山一宮MODEL」のうち、
【気づき→結果の処理→考察】の段階を中心に設計されています。
理数科や情報科で培うデータ分析力と連携し、
地理という社会科の中で「科学的に社会を読み解く」力を育てる実践となりました。

数学・理科・地理がつながる探究こそ、
一宮高校が進める“STEAM教育”の真髄です。
生徒一人ひとりの気づきが、地域を支える未来の防災意識へとつながっています。